26.日本の新聞の造語(ぞうご)?ABCD包囲陣(ほういじん)

ABCD包囲陣(ほういじん)というのは、1941年の太平洋戦争(せんそう)の直前に、日本に対して行われた経済(けいざい)制裁(せいさい)(=海外から経済的(てき)な援助(えんじょ)を受けられないようにすること)の事。行ったのはアメリカ(America)、イギリス(Britain)、中国(China)、オランダ(Dutch)で、その頭文字をとって、ABCD包囲陣といわれているんだ。

アメリカは日本やドイツへの石油の輸出(ゆしゅつ)を全面禁止(きんし)したり、在米(ざいべい)日本人(=アメリカにいる日本人)の資産(しさん)凍結(とうけつ)(=自分の銀行の口座(こうざ)でも、自分で自由に引き出したり、移(うつ)したりすることを出来ないようにすること)をしたり、イギリスは日英通商航海条約(にちえいつうしょうこうかいじょうやく)を破棄(はき)したりして、日本が経済的(てき)に苦しむようにしたんだ。

でも、アメリカ、イギリス、中国、オランダがぐるになったり、条約を結(むす)んで行ったか、というとそうでもないんだ。

アメリカ政府(せいふ)の資産凍結と同時にイギリス政府も行動をおこして、ロンドンのオランダ亡命(ぼうめい)政府も誘(さそ)われて一緒(いっしょ)になって行動したとも言われているよ。
大西洋会談(かいだん)でアメリカ大統領(だいとうりょう)のルーズベルトがイギリス首相のチャーチルに対し『戦争を開始する事はできる』と言ったことに対してチャーチルは『われわれは日本を平和か戦争かの瀬戸際(せとぎわ)に追いやりつつある』という文書を送ったんだって。

これも一つの古文書だよね。

アメリカとイギリスが制裁をおこしたのは事実だけど、ABCD包囲陣というのは、日本政府が国民に対して危機感(ききかん)をあおるために宣伝(せんでん)した言葉、とも言われているよ。

だから今でも、この言葉がどこの新聞から出されたのかはよく分かっていないんだ。