古文書にふれてみよう
-はじめての古文書体験-
古文書の紙
箱の中からいろんな古文書が出てきたよ。折りたたんでそのまましまってあったのかな~。こんなしまい方で大丈夫ななの?

古文書を見ると、どうしても難(むずか)しそうな文字に目が行ってしまうよね。でも、他にも見なくちゃならないところもあるんだよ。何だと思う?

なんだろう?

入っていた箱かな? 最初(さいしょ)に見た映像(えいぞう)にも、豊臣秀吉(とよとみ ひでよし)って書いてある箱に入った古文書があったよ。

紙だけじゃない古文書
古文書は紙だけじゃなく、石や木、鐘(かね)などに書かれた物もあるんだったよね。

古文書が何に書かれていたのか、ということも、とても重要(じゅうよう)なんだ。

古文書は紙だけじゃない、って前のコーナーで見たよね。

でも、やっぱり古文書の王道は、紙に書かれた物なんだ。
これからその紙に着目して、見てみようね。

紙の色にも注目!
建暦元年 沽券 (個人蔵)
紙に着目してみてごらん。何か、気づく事はないかな?

公文書(こうぶんしょ)(=将軍や役所からの正式な文書)や大切な文書には質(しつ)のよい紙が使われているんだ。

質のよい紙っていうのは、材料に麻(あさ)とかは使わずに楮(こうぞ)や三椏(みつまた)、雁皮(がんぴ)などの植物を使って、色が白くて、重くて(厚(あつ)め)で、なめらかな紙のことだ。
大切なことだから、いつもよりもよい紙に書くってことだね。
卒業証書(そつぎょうしょうしょ)や賞状(しょうじょう)って、今でもよい紙を使うよね。それと同じだ。

中には料紙(りょうし)といって、あまりにじまないようにしたものや模様(もよう)をつけた加工(かこう)した紙も使われたりしたんだ。

紙をよく見てみると、白いだけじゃない、セピア色の物もあるね。
古くなってセピア色になっただけではなく、元からそのような色の物もあるし、紙の材料や紙の漉(す)き方によって色が変(か)わることがある。
産地(さんち)の特徴(とくちょう)がそこに表れる時があるんだよ。

それと保存(ほぞん)の過程(かてい)で、シミができてしまったり、虫食いが起きてしまうこともある。

そんな事も、すべて古文書の内容(ないよう)を調べたり、真偽(しんぎ)を確(たし)かめる手がかりになるんだよ。

紙の作り方については、「古文書にふれてみよう -はじめての古文書体験-」の「墨(すみ)づくり・紙漉(す)き・筆(ふで)づくりを実際(じっさい)に見てみよう」にも載(の)ってるので見てね。

いろいろな形の紙があるぞ!
これは紙を作っているところ、「紙を漉(す)く」というんだ。
水に溶かして、このようにすくい取って、乾(かわ)かすんだ。

今度は紙の形を見てみよう。
なんとなく古文書には、横長の紙が多い印象(いんしょう)をもっていないかい?

これは竪紙(たてがみ)というんだ。
紙を漉(す)いたときに出来る目は縦(たて)向き。
そのままの横長の縦向きの目の紙に文字を縦向きに書くのが竪紙なんだ。

竪紙を横長に二つ折(お)りにしたのが折り紙(おりがみ)。
これは竪紙よりも略式(りゃくしき)のものなんだ。
その他にも適当(てきとう)切って使う切り紙(きりがみ)など、さまざまな種類(しゅるい)があるんだ。

紙の代表はこの3種!

※下の動画では音声も入っているよ!

1つめは唐紙(からかみ・とうし)。

竹を原料とした中国の紙。少し黄色いね。唐というのは昔の中国の名前だよ。
ふすまの紙のことをカラカミっていう人もいるよ。丈夫(じょうぶ)な紙なんだ。

2つめは「すずめ」ってかいてあるけど、これは商品の名前で、紙の名前は楮紙(こうぞし)。

楮という木から作られた紙でかなり昔から使われているんだよ。
墨(すみ)があまりにじまないので、書きやすいんだ。

3つめは奉書紙(ほうしょし)。

越前(えちぜん)の和紙といえば有名で、今の福井県だ。
にじみやすいけど楮紙よりも丈夫なんだ。
今でも大事なことを書くときに使われていて、そうそう、入学式や卒業式の時に紙を広げて読む人がいるでしょ? あの紙は奉書紙に書かれるんだよ。

下の動画では、それぞれの紙に筆で同じ文章を書いてもらったよ。どんな違いがあるか見てね。

※下の3つの動画では音声も入っているよ!

最初は、唐紙。スラスラ書ける感じだね。
(廣瀨裕之(広瀬舟雲)先生 書)
次に楮紙。もっと滑(なめ)らかに見えるな~。サラサラ書いてる感じだね。
(廣瀨裕之(広瀬舟雲)先生 書)
最後(さいご)は奉書紙。
うん! 確かににじんでるし、かすれてる。ちょっと書きづらそうだったね。
(廣瀨裕之(広瀬舟雲)先生 書)

このように紙によって書く時の書きやすさや見た目もだいぶ違(ちが)うんだね。
紙1枚とっても、いろいろな違いがあるっていうことがわかったかな?

で、なんて書いたのかな?
書道家の廣瀨裕之(広瀬舟雲)先生に聞いてみたよ。
書いた文字は・・・

「拝啓
桜の花の
美しい頃と
なりました」

読めたかな?

このページのまとめ

このページで学んだことのポイントはこれだ!
整理しておくよ。

古文書に使われている紙は

〇その素材(そざい)や使い方によって、さまざまな種類に分類(ぶんるい)されている。

〇古文書の目的・種類によっては、紙が決められているものもある。

そんなにいろいろ、紙の種類があるんだね。

書いてあることだけじゃなく、紙に注目することも大切ね。

そう。紙の種類は、その時の出す人の状況(じょうきょう)にも左右されるし、受取人と差出(さしだし)人の立場によっても変わるんだ。
礼をつくすために、上質(じょうしつ)の紙を使ったこともあるんだよ。
また、紙の目は縦向きだから、縦向きの方が破(やぶ)れやすく、横向きは破れにくい。
その破れにくい方向(ほうこう)に無理(むり)やり破ることを「横紙破(よこがみやぶ)り」といって、今でも無理に物事を押(お)し通すことを、「横紙破り」っていうんだよ。